先日、シネマカリテにて映画「サッドヒルを掘り返せ」をみた。これはドキュメンタリー映画で、その多くがインタビューにさかれている。
ドキュメンタリー映画を映画館でみるのははじめてであったが、退屈せずにみることができた。

サッドヒルとは映画「続・夕陽のガンマン」に出てくる、クライマックスの重要な舞台だ。
円形の墓地で、十字架が立ち並ぶ。
そのなかの墓のどこかに金貨が隠されており、それをめぐって暑苦しい男たちがそこで決着をつける。

ちなみに前作の「夕陽のガンマン」は黒澤映画の「用心棒」を真似た作品で、対立する両者のなかでとあるガンマンが画策する。このガンマンがイーストウッドなのだが、ニヒルな笑み、まぶしげな目元、クールなたたずまいと、本当にかっこいい。
「続・夕陽のガンマン」の主役の“The Good(善玉)”もイーストウッドで、こちらもかっこいい。ちなみに、「続」とはいうが「夕陽のガンマン」とストーリーに直接の関わりはない。それと「続・夕陽のガンマン」はあくまで邦題で、作中に夕陽の場面はほぼない。

「サッドヒルを掘り返せ」は、そんな「続・夕陽のガンマン」に魅せられた熱いファンたちの物語だ。
この映画は、「続・夕陽のガンマン」を見ていないと楽しめないかもしれない。だが、見ておけば、この映画をみたあとにもう一度「続・夕陽のガンマン」を楽しむことができる。

「サッドヒルを掘り返せ」は埋もれてしまったロケ地サッドヒルを掘り返すというタイトルのまんまの映画である。けれど、現代のいわゆる聖地巡礼の、強化版のような趣がある。

鑑賞して、強く思ったのが、
何かに夢中になれるのは良いことだ、ということだ。他人はどうであれ、自分にとってとても良い。
聖地を掘り返している彼らは、自らのなかの何かを探し求めていたのだろう。